CRCグループTOP > シー・アール・シー > よくある検査のご質問 >
老人性貧血について教えてください。

貧血は循環血液量の減少であり、通常はヘモグロビン濃度低下をさします。WHO基準などによる貧血の定義は15歳以上の成人男性で13.0g/dL以下、妊婦を除く15歳以上の成人女性で12.0g/dL以下とされています。高齢者の場合、男女を問わず11.0g/dL以下が目安となっています。

70歳以降は急速に造血能が低下するといわれ、赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値は加齢とともに減少し、MCV(平均赤血球容積)、MCH(平均赤血球血色素量)は増加します。また高齢になるほど個人差は大きくなります。

高齢者の貧血の原因では大部分が老人性貧血、続発性貧血といわれています。貧血の分類にはMCVで原因検索していきます(※)。

1.MCV低値
鉄欠乏性貧血、慢性炎症に伴う貧血、サラセミアや鉄芽球性貧血などの血液疾患が含まれます。高齢者では感染症、悪性腫瘍、膠原病など炎症性貧血、栄養不足や慢性出血による鉄欠乏性貧血がほとんどで、鉄欠乏性貧血の過半数は消炎鎮痛剤、痔などの消化管出血が原因といわれます。

 
2.MCV正常
慢性炎症性貧血、腎性貧血、白血病や再生不良性貧血、骨髄異形成症候群(MDS)などの血液疾患および老人性貧血が含まれます。老人性貧血は加齢に伴う腎エリスロポエチン産生能低下や骨髄の造血能低下などさまざまな要因が影響し原因が特定できない貧血のことで、長期間の観察により悪性腫瘍、MDS、膠原病などが顕在化することがあるため経過観察が必要です。

 
3.MCV高値
血液疾患や肝疾患、甲状腺機能低下症に伴う貧血が含まれます。また、抗がん剤の投与、ビタミンB12あるいは葉酸欠乏があります。ビタミンB12吸収能は加齢とともに低下し、プロトンポンプ阻害剤やH2拮抗剤を長期間服用している場合欠乏しやすくなります。また高齢者の葉酸欠乏はアルツハイマーやアルコール依存者など食事摂取不良が考えられます。さらに高齢者では多種類の投薬を受けていることが多く、薬剤性貧血も少なくありません。  

Link -->  ※赤血球恒数(MCV、MCH、MCHC)から何がわかるのですか?

【参考】 森 眞由美;日老医誌45、2008
笠井 雅信;長寿医療研究センター病院レター第47号、2013
大田 雅嗣;Medical Practice 19(8)、2002