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質問 大腸菌血清型別と腸管出血性大腸菌の違いについて教えてください。 |
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大腸菌は、ヒトの腸内に常在し、そのほとんどは害がありません。しかし、中には病原因子を保有し、ヒトに下痢などの症状を引き起こす、下痢原性大腸菌と呼ばれる大腸菌が存在します。 下痢原性大腸菌の中で、ベロ毒素を産生する大腸菌は腸管出血性大腸菌とされ、感染症を引き起こした場合は感染症法の第三類感染症に該当します。血清型O157やO26、O111などがよく知られていますが、他にも多くの血清型が報告されており、市販の抗血清では血清型が判明しない腸管出血性大腸菌も存在します。 大腸菌の抗原は、O(菌体)、H(鞭毛)、K(莢膜)および線毛抗原の4種類に大別され、主にO、およびHを組み合わせたものが大腸菌血清型別といわれ、大腸菌免疫血清を用いて検査します。大腸菌は血清型によってその病原性が判断されてきましたが、病原因子との相関が得られないケース、すなわち血清型が判明しても病原因子を持たない場合や、逆に病原因子があるのに血清型が判明しない場合があることが報告されるようになりました。したがって、現在は大腸菌血清型別で血清型が判明しても、その病原因子の確認が重要と考えられています。大腸菌は血清型によるタイピング(大腸菌血清型別)と病原因子による下痢原性大腸菌の分類が存在するため、混乱を招いていることがあります。重要なのは病原因子なのですが、ベロ毒素以外の病原因子の確認は遺伝子検査が必要となり、保険収載の対象にもなっていないため一般的な検査室では実施されていないのが現状です。
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