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質問 原発性胆汁性胆管炎(PBC)について教えてください。 |
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回答 原発性胆汁性胆管炎(Primary Biliary Cholangitis:以下、PBC)は、病因・病態に自己免疫学的機序が想定され、中高年女性に好発する慢性進行性の胆汁うっ滞性肝疾患です。 本疾患は以前、原発性胆汁性肝硬変と呼ばれていましたが、診断や治療技術の進歩により、ほとんどの患者は肝硬変の状態ではないことから病名が変更されています。 臨床上は皮膚掻痒感や黄疸、食道胃静脈瘤、腹水、肝性脳症などの肝障害など、自覚症状を有する症候性と無症候性に分類されます。症候性、無症候性を問わず、血清胆道系酵素(ALP、r-GTP)の上昇を認め、抗ミトコンドリア抗体(以下、AMA)が高率(約90%)に検出され、診断的意義は高いと考えられます。AMAは症状や血液生化学検査の異常が出現する前から陽性化します。また、IgMの上昇が認められることが多いのも特徴です。抗核抗体陽性PBCでは、セントロメア型、核膜型が多く認められます。抗セントロメア抗体はPBCの約20〜30%で陽性になります。陽性例の生命予後はよいですが、黄疸出現以前に門脈圧亢進症を呈する症例に高率に陽性化します。 組織学的所見として、肝組織では肝内小型胆管に慢性非化膿性破壊性胆管炎を認めます。病期の進行に伴い胆管消失や線維化を生じ、胆汁性肝硬変へと進展し、肝細胞癌を伴うこともあります。 慢性胆汁うっ滞に伴い、骨粗鬆症や高脂血症が高率に出現し、高脂血症が持続する場合に皮膚黄色腫を伴うことがあります。また、シェーグレン症候群、関節リウマチ、慢性甲状腺炎などの自己免疫性疾患を合併することもあります。 血清総ビリルビンが高いほど予後が悪く、6.0mg/dL以上になると肝移植が考慮されます。
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