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質問 急性腎障害(AKI)の検査には何がありますか? |
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回答 急性腎障害(acute kidney injury:AKI)とは数時間から1週間程度の経過で腎臓の機能が低下する病態をいい、これまで急性腎不全と呼ばれていました。 診断には血清クレアチニン測定が必須ですが、血清クレアチニンの上昇は障害から遅れて徐々に上昇する傾向があり、同様に腎障害の指標として頻用されるeGFRは腎機能が急激に変化するAKIにおいては適応できません。早期診断には尿中L-FABPや血清シスタチンCが有用です。 特に、尿中L-FABPは従来の尿検査(蛋白、アルブミン、トランスフェリン、IV型コラーゲン、NAG、β2-m、α1-mなど)が糸球体や尿細管の組織障害の結果、尿中への排泄が増加するのに対し、組織障害が進行する以前の尿細管へのさまざまなストレスによって尿中に排泄されるため、尿細管機能障害を血清クレアチニンよりも早期に診断するバイオマーカーとして注目されています。 AKIの原因は、障害された部位によって腎前性、腎性、腎後性に分けられます。 1.腎前性/腎臓自体に障害はなく、循環血流量が低下するために起こります。出血や下痢、心筋梗塞、敗血症など。 2.腎 性/腎臓自体が障害されたために起こります。腎臓自身の病気、薬物※など。 3.腎後性/腎臓でつくられた尿を体外へ排泄するための経路(尿管、膀胱、尿道など)が閉塞したために起こります。腫瘍、結石など。 また、尿量はAKIを診断するための重要な指標であり、尿の生化学検査も障害部位を推定する上で有用です。腎性と腎前性の鑑別には尿浸透圧、尿中Na濃度および尿中ナトリウム排泄率(FENa)が利用されます。さらに、尿細管上皮の障害程度を推定する上では尿沈渣所見が重要です。
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