11-06
「尿中アルブミン」検査内容変更のお知らせ

 さて、このたび、尿中アルブミン定量検査の基準値を「糖尿病性腎症の早期診断基準」のカットオフ値へ変更し、翌日報告することとなりましたので、ご案内申し上げます。


■変更期日
 平成 23年4月1日(金)受付分より
■変更内容

コード 検査項目 変更箇所
767 尿中アルブミン
(クレアチニン補正値)
基準値
所要日数
30.0 未満 mg/g・Cre
1日
15.9 以下 mg/g・Cre
2日
2120 尿中アルブミン・蓄尿 基準値
所要日数
30.0 未満 mg/day
1日
22.0 以下 mg/day
2日


■尿中アルブミン定量

 糖尿病では慢性の高血糖が持続すると糖尿病に特有の細小血管障害(網膜症、腎症、神経障害)が生じます。糖尿病性腎症は糖尿病の合併症のひとつで、臨床的には蛋白尿、腎機能障害、高血圧、浮腫などを呈し、最終的には腎不全に至ります。

 糖尿病性腎症の診断には試験紙による尿蛋白の定性検査が広く用いられてきましたが、尿蛋白定性検査が陰性でも、すでに腎の組織学的変化が始まっている場合が多く、陽性が認められる頃にはかなり進行していることがまれではありません。

 尿中アルブミンは、腎糸球体障害の進行に伴い尿中排泄量が増加する物質であることから、「尿中微量アルブミン」とも呼ばれ、尿試験紙法で蛋白が検出される以前の軽度腎障害を判定できる検査です。

 糖尿病性腎症の早期診断基準では、尿中アルブミンを早期腎症の診断指標としています。


■糖尿病性腎症の早期診断基準

(日本腎臓学会・日本糖尿病学会糖尿病性腎症合同委員会報告、2005)
測定対象 尿蛋白(−)〜(1+)の糖尿病患者
必須事項 尿中アルブミン 随時尿 30〜299mg/g・Cre (3回測定中2回以上)
・採尿条件: なるべく午前中の随時尿を用いる
通院条件によっては、来院後一定の安静時間を経て採尿
もしくは早朝尿を用いる
・測定方法: 免疫測定法で測定し、同時に尿中クレアチニン値も測定
参考事項 尿中アルブミン排泄率 24時間尿 30〜299mg/日
時間尿20〜199μg/分
尿中IV型コラーゲン 随時尿7〜8μg/g・Cre以上
腎サイズ 腎肥大

〔注意事項〕
1. 高血圧(良性腎硬化症)、高度肥満、メタボリック症候群、尿路系異常・尿路感染症、うっ血性心不全などでも微量アルブミン尿を認めることがある。
2. 高度の希釈尿、妊娠中・月経時の女性、過度な運動後・過労・感冒等の条件下では検査を控える。
3. 定性法で微量アルブミン尿を判定するのはスクリーニングの場合に限り、後日必ず上記定量法で確認する。
4. 血糖や血圧コントロールが不良な場合、微量アルブミン尿の判定は避ける。