11-04
一般細菌薬剤感受性検査MICセット
「耐性菌情報コメント」に関するお知らせ

 さて、弊社では、一般細菌薬剤感受性検査MICセット(微量液体希釈法)のご依頼につきまして、耐性菌を検出した場合「耐性菌情報コメント」を検査報告書に表示しております。
 このたび、厚生労働省 院内感染対策サーベイランス検査部門 特定の耐性菌判定基準(Ver3.0)2010.12.3改訂に基づき、「第三世代セファロスポリン耐性大腸菌及び肺炎桿菌」を追加しましたので、ご案内申し上げます。


■検査項目
 一般細菌薬剤感受性検査MICセット
■変更期日
 受託中
■耐性菌情報内容

耐性菌名 耐性菌情報コメント
ペニシリン耐性肺炎球菌 
(髄膜炎以外の基準)
PISP(ペニシリン中等度耐性肺炎球菌:PCG4)を認めます。
PRSP(ペニシリン高度耐性肺炎球菌:PCG≧8)を認めます。
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 MRSAを認めます(MPIPC≧4)。
VCM耐性黄色ブドウ球菌 バンコマイシンに対し、中等度耐性を示すMRSAを認めます。
バンコマイシンに対し、高度耐性を示すMRSAを認めます。
VCM耐性腸球菌 バンコマイシンに対し、中等度耐性を示す腸球菌を認めます。
バンコマイシンに対し、高度耐性を示す腸球菌を認めます。
多剤耐性緑膿菌 多剤耐性緑膿菌を認めます(IPM≧16、AMK≧32、CPFX≧4)。
カルバペネム耐性緑膿菌 カルバペネム耐性緑膿菌を認めます(IPM≧16)。
多剤耐性アシネトバクター 多剤耐性アシネトバクターを認めます(IPM≧16、AMK≧32、CPFX≧4)。
カルバペネム耐性セラチア カルバペネム耐性セラチアを認めます(IPM≧16)。
多剤耐性腸内細菌 多剤耐性腸内細菌を認めます。
第三世代セファロスポリン耐性 大腸菌 第三世代セファロスポリンCAZ耐性大腸菌を認めます。
肺炎桿菌 第三世代セファロスポリンCAZ耐性肺炎桿菌を認めます。
ESBL産生菌 大腸菌 ESBL(基質拡張型β−ラクタマーゼ)産生大腸菌と考えられます。
肺炎桿菌 ESBL(基質拡張型β−ラクタマーゼ)産生肺炎桿菌と考えられます。
クレブシェラ・オキシトカ ESBL(基質拡張型β−ラクタマーゼ)産生クレブシェラと考えられます。
プロテウス ESBL(基質拡張型β−ラクタマーゼ)産生プロテウスと考えられます。
※ CLSI M100-S19の基準を採用しています。


■検査要項

 検査項目  一般細菌薬剤感受性検査
 検査材料  各種臨床材料(血液は、血液培養ボトル)
 保存方法  冷蔵(血液培養ボトルは常温)
 検査方法  微量液体希釈法(MIC)
 基準値  S・I・RおよびブレイクポイントMIC値を同時表示
 実施料
  1菌種140点 2菌種180点 3菌種230点
 判断料  微生物学的検査判断料 150点
 備考  ご依頼の際は、一般細菌MICセットにチェックして下さい。
※検査結果は、CLSI(Clinical and Laboratory Standard Institute)の基準に基づいて報告致します。


■統計

期間:2008年〜2010年
耐性分類 菌名 2008年 2009年 2010年
ESBL
(基質特異性拡張型βラクタマーゼ)
K.oxytoca 5.3% 7.3% 12.3%
E.coli 20.1% 24.0% 26.9%
K.pneumoniae 15.8% 17.6% 16.7%
Proteus mirabilis 40.6% 33.7% 32.2%
カルバペネム耐性 P.aeruginosa 18.9% 13.0% 10.3%
Serratia marcescens 1.5% 0.2% 0.3%
多剤耐性緑膿菌 P.aeruginosa 0.6% 0.4% 0.4%
多剤耐性アシネトバクター A.baumannii 0.0% 0.0% 0.0%
 
(社内データ)


1. MDRP(多剤耐性緑膿菌)
緑膿菌は本来多種の抗菌薬に対して耐性を示すが、MDRPはキノロン系薬(シプロフロキサシンCPFXなど)、カルバペネム系薬(イミペネムIPMやメロペネムMEPM)や抗緑膿菌用のアミノグルコシド系薬(アミカシンAMKなど)の3系統の薬剤にも耐性を示す。

2. ESBL(Extended spectrum β-lactamase)産生菌
(1) 大腸菌やKlebsiella pneumoniae のペニシリナーゼ遺伝子が変異して、本来分解しないはずのセファロスポリン系抗菌薬を分解するようになったβ-ラクタマーゼの総称。
(2) 腸管内に保菌され、院内感染における集団発生の原因菌となる。院内感染は、集中治療室で発生することが多く、重篤な基礎疾患や手術後などで身体の抵抗力が低下している人に敗血症、髄膜炎、肺炎、創部感染症、尿路感染症などを引き起こすことがある。

3. 多剤耐性腸内細菌のコメントについて
(1) 腸内細菌科の細菌(大腸菌、肺炎桿菌、セラチア、エンテロバクター等)
(2) カルバペネム系、フルオロキノロン系、アミノ配糖体系の3系統すべての抗菌薬(各1剤以上)に「R」と判定されたものを、多剤耐性腸内細菌としてコメント表示いたします。