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シックハウス症候群
シックハウス症候群とは
 1980年代初め、欧米各地では省エネを目的に気密性・断熱性に優れたビルが多く建設されました。このようなビルで働く人々が次々と体調不良を訴えたことが始まりだといわれています。

 シックハウス症候群の原因の1つとして、建材に使用される接着剤や防腐剤に含まれるホルムアルデヒドおよび揮発性有機化合物などが存在します。他にも、家具や生活用品に含まれる化学物質やカビやダニなどが原因となることもあります。

 ホルムアルデヒドや揮発性有機化合物のような有害物質は、それらを含む建材などから空気中に揮発していきます。密閉性の高い部屋では換気が悪く、有害物質が室内に留まりやすくなるため、室内空気が汚染され、人の健康へ影響を与えます。

 シックハウス症候群の症状としては、目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥や痛み、吐き気、頭痛、湿疹など人によってさまざまです。個人によって症状が異なり、同じ部屋にいるのに全く影響を受けない人もいれば、敏感に反応してしまう人もいます。そのため、診断がつきにくく原因の特定も難しいといわれています。原因がわからないまま、長期間にわたり吸い込み続けると、突然頭痛や吐き気などを発症し、その後はごく微量の化学物質にも体が反応してしまうようなことになってしまいます。

 このように原因や症状が多岐にわたるシックハウス症候群は、医学的に確立した単一の疾患ではなく、住居に由来するさまざまな健康障害の総称を意味する用語とされています。

シックハウス症候群の主な症状
チカチカする・涙目
刺激感・鼻水・乾燥
唇の乾燥
のど のどの痛み・乾燥
その他 頭痛、嘔吐、吐き気めまい、倦怠感
  皮膚の紅斑、じんましん、湿疹・カサカサ

シックハウス対策に関する国の取り組み
 近年、建築物の新築や改修、大規模修繕などによってシックハウス症候群による体調不良が数多く報告されているため、厚生労働省はホルムアルデヒドなどの13項目について室内濃度指針値を定めています。

 住宅の品質確保の促進等に関する法律では、5項目の揮発性有機化合物が住宅性能評価の1つとなっており、学校保健安全法でも6項目の揮発性有機化合物が検査項目に定められています。また、建築基準法の改正により、指定化学物質の規制と換気が義務化されるなど、健康被害を未然に防ぐために、さまざまな取り組みが行われています。
室内環境測定の様子
(パッシブ型測定法)

シックハウス対策に関する各種法制度等
  [関連法令等]   [関連する業種]   [測定項目及び指針値]
 
国土交通省
建築基準法
品質確保促進法
 
厚生労働省
建築物衛生法
(ビル管理法)
 
文部科学省
学校保健安全法
学校環境衛生基準
自治体
建築業
設計事務所
工務店
内装業
住宅リフォーム業
ビルオーナー
ビル管理業
学校
幼稚園
揮発性有機化合物 室内濃度指針値
 ホルムアルデヒド 100μg/m3(0.08ppm)
 トルエン 260μg/m3(0.07ppm)
 キシレン 870μg/m3(0.20ppm)
 エチルベンゼン 3800μg/m3(0.88ppm)
 スチレン 220μg/m3(0.05ppm)
 パラジクロロベンゼン 240μg/m3(0.04ppm)

シックハウス症候群の予防法
 
国の定める指針値を満たした建物でもシックハウス症候群の症例はゼロではありません。とくに同じ空間に長く居ることの多い専業主婦や体重あたりの空気摂取量が大人より多くなる子どもは影響を受けやすくなります。
これらを予防するためには、
 1.積極的に窓をあけ、換気をこまめに行う。
 2.換気扇などの機械換気はなるべく回しておく。
 3.新築や増改築直後の建物では特に換気に気を配る。 
 4.家具や生活用品についても、化学物質の使われていないものを選ぶ。

 弊社では、改築、改修、大規模修繕等の施行前、施行後の室内空気環境測定を実施しています。ぜひ、ご利用ください。




こらぼ2014年冬号より抜粋