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ビタミン
  ビタミンとは
 ビタミンとは微量ながら生命維持に必須で、かつ体内で必要量を作れない有機化合物のことを指します。ヒトでは現在13種類が確認されており、具体的にはビタミンA、B群(B1、B2、ナイアシン、パントテン酸、B6、ビオチン、葉酸、B12)、C、D、E、Kが該当します。さまざまな種類の食べ物が食卓に並ぶようになった現代社会では、ビタミン欠乏症ほど重症化することはほぼなく、何となく調子が悪いなどの不定愁訴として表面化する程度です。日頃から十分に摂取したいビタミンですが、どんな食材にどれ程含まれているか知らないとそれも難しく、毎日の食事が悩みの種となってしまいます。今回はビタミン類の中でも現代人に不足しがちといわれる3種類について取り上げます。
 
ビタミンB1
 かつては「国民病」とまでいわれたビタミンB1不足が原因の「脚気」ですが、現在ではほとんど見られなくなりました。しかしながら、潜在的にビタミンB1が不足している人が一定数おり、疲れや肩こりの一因とされています。ビタミンB1はエネルギー産生に必要となるため、糖分を多く摂る人やよく運動する人はより多く摂取する必要があります。糖分を含むスポーツドリンクを水代わりに多飲することで欠乏症に至った例もあり、エネルギー補給をスポーツドリンクだけに頼るのはよくありません。ビタミンB1は、豚肉や豆類などに多く含まれています。
 
ビタミンC
 ビタミンCはコラーゲンの生成に必要な水溶性ビタミンで、不足すると血管や肌、骨などの劣化を引き起こします。重症化すると壊血病になりますが、現代社会ではよほど偏った食事を継続しない限りは発症することはありません。ストレスによって大量に消費されるため、ストレスが多い環境下では必要量が多くなります。喫煙による酸化ストレスでもビタミンCが消費されるため、喫煙者は非喫煙者よりもビタミンCをより多く摂る必要があります。ビタミンCは柚子などのかんきつ類のほか、ブロッコリーやピーマンなどに多く含まれています。
 
ビタミンD
 ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きを持つ脂溶性ビタミンです。近年の研究では脳内物質の分泌に関与し、精神疾患にも影響を与えることが判明したため、うつ病の改善にも効果があるといわれています。日光を浴びることで体内でも合成されることから「太陽のビタミン」と呼ばれ、日照時間の短い北欧諸国では日光浴をしたりサプリメントで補ったりしています。オフィスワークが増え、コロナ禍で外出しにくい今日でも意識して日光を浴びるようにしたい所です。ビタミンDは魚やキノコ類に多く含まれています。とくにカルシウム不足を同時に補えるちりめんじゃこなどがおすすめです。
 
サプリメントの活用について
 不足している栄養素を手軽に補えるサプリメントですが、ビタミンの種類によっては過剰症になってしまう危険性があります。自身の食生活と照らし合わせ、本当に必要なものなのかを考えて利用しましょう。サプリメント摂取のタイミングは、胃腸が活発に働いている食事中に行うと効果的です。本来、サプリメントでの栄養補給は偏食のない食生活を行っていれば不要なものです。あくまでも補助食品であって、三食バランス良く食べることが大事なのです。
 



こらぼ2021年春号より抜粋