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味覚センサー
 最近、テレビや雑誌などのメディアで、食品などの味覚を数値化しているのをよく見かけます。
 
 例えば「何故プリンに醤油をかけるとウニの味になるのか」や「目玉焼きにどの調味料をかけるのが一番おいしいか」などです。このような例は、味認識装置(以下、味覚センサー)によって味を測定し、数値化されています。
 
 ところで、人間が食品を「おいしい」と感じるには、人間の五感である味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚が関わっています。さらに、おいしいと感じるのは、五感のみならず、その時の体調や気分、また、土地柄や食環境といった生まれ育った状況まで影響し、人それぞれ異なるため、機械で計測するのは難しくなります。
 
 また、味覚というものは視覚などに比べると主観的な要素の強い感覚なので、温度計や湿度計、乗り物に付いているスピードメーターのように、機械が客観的に測定して数値化するというイメージはあまりないと思います。
 
 そのため、味覚というのは人による官能検査でしか表すことができないように思えますが、前述の味覚センサーの登場により、味覚の数値化が可能になりました。
 
 では、どうやって客観的に測定できるようになったのでしょうか?
 
 味覚には「酸味」「苦味」「甘味」「塩味」「うま味」の5つの味で構成されており、これらの味は舌で感じた時点で決定されます。
 
 人間の舌には「味蕾」という組織があり、ここで味を感じています。この味蕾は「味細胞」という細胞で構成されており、この味細胞の表面を覆っている生体膜が食品中の化学物質を受け取ると電圧が発生します。この時の生体膜電位の変化が脳に伝達されることによって、うま味や苦味などの味覚を認識します。
 
 つまり、味覚センサーは、この生体膜で起きる現象を、「人工の舌」で測定します。「人工の舌」は、生体膜を模した人工の脂肪膜で作られ、食品の成分が入った味溶液に浸すことで起きる電位の変位量を味として感知します。
 
 この原理を用いることで、味覚センサーは飲料、調味料、果物、野菜などへ適用され、味の定量化に成功しています。茶類や清涼飲料水、酒類などの飲料や醤油などの液体の調味料はそのまま、塩や砂糖などの調味料や野菜、果物などの固形物は水に混ぜたり、ミキサーで液状にしたりすることで測定できます。
 
 これを、さらに応用していくことで、冒頭のように、「何と何を掛け合わせると何の味になるか」や「どの食品にはどの調味料や食品があうのか」が、グラフや数値といった誰もが分かるものへとなり、新しい食品が開発されるきっかけとなっていきます。
 
 弊社は、シー・アール・シーの創業50周年記念事業の一環として、新社屋を竣工しました。インテリジェントセンサーテクノロジーが世界で初めて味認識装置の実用化に成功した最新機種の味認識装置「TS-5000Z」を導入し、検査受託を始めました。また、オープンラボを開設し、お客様ご自身で味認識装置を自由にご利用いただけます。
 
 官能検査の強力なサポートツールとしての活用が可能で、測定時間は1回約10分。1サンプルごとに4回測定しブレを平準化できます。商品開発や品質管理に、ぜひ、ご活用ください。
 
 
 
 


こらぼ2017年夏号より抜粋