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食中毒に注意しましょう!
 カンピロバクター食中毒は、近年、我が国で発生している細菌性食中毒の中で最も多い食中毒です。今回は、カンピロバクターについて、正しい知識、予防法について紹介します。

カンピロバクターとはどういう細菌ですか?
 カンピロバクターはニワトリ、ウシなどの家禽や家畜をはじめ、ペット、野鳥、野生動物などあらゆる動物が保菌しています。1970年代に下痢患者から本菌が検出され、ヒトに対する下痢原性が証明されました。特に1978年に米国で飲料水を介して約2000人が感染した事例が発生し、世界的に注目されるようになりました。
 カンピロバクターは本菌に汚染された食品、飲料水の摂取や動物との接触によってヒトに感染します。100個程度と比較的少ない菌量を摂取することでも感染が成立することが知られています。

カンピロバクターに感染するとどんな症状になるのですか?
 症状は下痢や腹痛、発熱、悪心、嘔気、嘔吐などがあり、他の感染型細菌性食中毒と酷似します。多くの場合は1週間で治癒しますが、若齢者や高齢者、その他抵抗力の弱い人は重症化の可能性が高く注意が必要です。また、潜伏時間が一般に2〜5日間とやや長いことが特徴です。カンピロバクターに感染した数週間後に手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発生する場合があることが指摘されています。

どのような食品がカンピロバクター食中毒の原因になるのですか?
 カンピロバクター食中毒発生時における患者の喫食調査及び施設などの疫学調査結果からは、主な推定原因食品または感染源として、鶏レバーやささみなどの刺身、鶏のタタキや鶏わさなどの半生製品、鶏肉関連調理食品及びその調理過程中の加熱不足や取扱い不備による二次汚染が強く示唆されています。また、我が国では、不十分な殺菌による井戸水、湧水および簡易水道水を感染源とした水系感染事例も発生しています。

鶏肉はどの程度カンピロバクターに汚染されているのですか?
 厚生労働科学研究食品安全確保研究事業 「食品製造の高度衛生管理に関する研究」主任研究者:品川邦汎(岩手大学教授)において、市販の鶏肉についてカンピロバクター汚染調査を行ったところ、カンピロバクター・ジェジュニが鶏レバー56検体中37検体(66.1%)、砂肝9検体中6検体(66.7%)から分離されました。

カンピロバクター食中毒の予防方法は?
 カンピロバクター食中毒は、加熱調理によりカンピロバクターを死滅させること、およびカンピロバクターに汚染されている可能性のある食品からの二次汚染を防止することにより予防が可能です。具体的には下記のことが重要です。
 1.食肉は十分に加熱調理(中心部を75℃以上で1分間以上加熱)を行う
 2.二次汚染防止のために、食肉は他の食品と調理器具や容器を分けて処理や保存を行う
 3.食肉を取り扱った後は十分に手を洗ってから他の食品を取り扱う
 4.食肉に触れた調理器具等は使用後洗浄・殺菌を行う
 


こらぼ2013年夏号より抜粋