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食品の移り香問題について
 食品にとって「におい」は付き物であり、「良いにおい」は食欲を増進させるなど、欠かせない物です。しかし、元来「食」というものは生命を維持するために必要な行為で、本来は命がけの行為と言えます。故に食べられるか否かという判断をする基準の1つとなる嗅覚は危険なものに対して非常にシビアであり、「良いにおい」よりも「悪いにおい」をより感度よく捉える傾向にあります。今回は食品の異臭原因の1つとして薬品臭の「移り香」問題について触れてみたいと思います。

 パラジクロロベンゼンやナフタレンといった防虫剤に使われる物質が食品に吸着して薬品臭がする、いわゆるインスタントラーメンやミネラルウォーターの「移り香」問題は記憶に新しいところですが、これらの物質は油の多い食品により移りやすいため、油で揚げた食品を保存する際には特に注意が必要です。現在流通しているインスタントラーメンは油揚げ麺であることが多いので、リスクの高い食品であるといえます。また、調理段階で茹でたとしても20%程度しか除去することがないようです。ミネラルウォーターの場合、当然油は含まれていませんが、もともと無臭の製品のため、食品に比べて極わずかな量が移ってもにおいを感じてしまうものと考えられます。

 包装形態についても紙包装の場合は通気性がありますので、例え二重に包装されていたとしても簡単ににおいが移ってしまいます。また、ビニール包装でも、材質によっては移り香を防ぐことができない場合がありますので注意が必要です。最近は環境保護等の関係で包装が薄くなる傾向にありますので、そのリスクは高まっていると言えます。食品の保存にあたっては、基本的ににおいを発生させる物質と混在させないことが重要だといえるでしょう。




こらぼ2010年春号より抜粋