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期限表示設定について
 食品に関する偽装表示など、食の安全を脅かす大きな問題が多発しています。そこで、今回は私達に身近な期限表示設定について取り上げてみたいと思います。

 食品の日付表示は「製造年月日」が主流でしたが、1995年4月から「消費期限」と「賞味期限」という表現に切り替わりました。製造や流通技術の進歩で食品の日持ちがよくなり、品質保持の期限そのものを表示した方が、消費者にとって有益だとの考え方によるものです。

 「消費期限」とは、表示された方法で腐敗、変敗などにより衛生上の危害が発生する恐れがないと認められる期限(製造日を含めおおむね5日以内)で、対象食品は、弁当、惣菜、生菓子などがあります。

 一方、「賞味期限」とは、表示された方法で保存した場合に、その食品に品質特性が十分に保持し得ると認められた期限で、対象食品は、ハム・ソーセージ、缶詰などがあげられます。そして、これらの期限を設定するのは製造者です。なぜならば、食品の保存性は原材料の衛生状態や製造工程における衛生管理、加工技術、包装技術などによって異なり、これらの情報を把握しているのは、その食品を作っている製造者だからです。輸入食品については、輸入者が設定することになっています。

 ではこの期限はどのように定められているのでしょうか?

 期限を設定する場合には、それぞれ一定条件で保存した食品について、微生物検査(生菌数、大腸菌群、食中毒菌等)、理化学検査(pH、酸化等)、官能検査(臭気、外観、色沢等)を行います。次に検査期限表示設定について結果に基づき、その食品に期待される品質特性が十分に保持される期間(可食期間)を決定し、これに0.7〜0.8の安全係数を乗じ期限を設定します。

 例えば、麺類の保存検査で得られた可食期間が10日間だったとします。これに安全係数の0.7〜0.8を乗じ7日〜8日と期限を設定するのです。つまり、表示された期限表示は科学的根拠をもとに、ゆとりを持って定められるのです。ただし、この期限表示は未開封の状態で、表示された保存方法により保存した場合の期限です。

 検査を行うサンプルにあたっては、同一ロットの製品の中から3〜5点をランダムに抽出し1回の検査を行う事が基本となります。

 このように期限表示は製造者及び輸入者等が「科学的根拠」に基づいて設定しているのです。



こらぼ2008年夏号より抜粋