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温泉成分分析

 わが国は世界でも有数な温泉国であり、温泉は人々の保養や療養、レクリエーションなどにも広く利用されています。
 
 温泉を公共で浴用または飲用を目的に利用するためには、各都道府県知事の許可が必要となります。理由として、温泉の成分といってもさまざまなものがあり、中には有害なものもあるからです。また用法によっては人体に悪影響を及ぼすものもあります。そのため、浴用や飲用への利用許可の申請には、温泉の成分を分析した書類を添付することが必要となっています。
 
 温泉成分の分析方法は、鉱泉分析法指針に基づいた分析法であることが定められています。
 
 ところで、温泉成分も多種多様であり、例えば、泉温(温泉の温度)やpH値、含有成分による分類があります。
 
 まず、測定した数値で種類が決定するものには
 ◆泉温
  冷鉱泉(25℃未満)
  低温泉(25℃以上34℃未満)
  温泉(34℃以上42℃未満)
  高温泉(42℃以上)
 ◆pH値
  酸性(pH3未満)
  弱酸性(pH3以上6未満)
  中性(pH6以上7.5未満)
  弱アルカリ性(pH7.5以上8.5未満)
  アルカリ性(pH8.5以上)
といったものがあり、含まれる成分による分類には次のようなものがあります。
 ◆塩類泉
  溶存物質が一定値を超えたものを陰イオンの主成分により分類したもの
  (例)ナトリウム塩化物泉
 ◆単純温泉
  溶存物質の量が一定値未満で泉温が25℃以上のもの。
  (例)アルカリ性単純温泉
 ◆特殊成分を含む療養泉
  何種類かの定められた特殊成分を含む温泉
  (例)単純放射能温泉
 
 上記のものは数多くある温泉の分類のごく一部で、温泉成分の化学組成、性状は千差万別です。その他にも検査方法として、湧出している成分のみを調べる場合やその温泉の成分が浴用、飲用に適しているかといったことを調べる場合もあります。また、温泉の湧出量も検査することがあります。
 
 温泉成分分析検査は、今から10年前の平成19年10月に温泉法が改正され、10年ごとの温泉成分分析が義務化されました。定期的な温泉成分分析の都度、結果に基づく利用施設での掲示の更新が必要になっています。
 
 これからの季節、寒くなってくると浴場や旅館などで温泉に入る機会も増えます。また、メディアなどで温泉の紹介記事や映像が取り上げられることも多くなってきます。実際に温泉に行ってみると、浴場の脱衣所などに温泉成分表が掲示してあります。一カ所だけの温泉入浴では分からないと思いますが、複数の温泉に入り温泉成分表を見てみると、それぞれの温泉の特徴が分かってくるかもしれません。

温泉利用事業者が掲示しなければならない項目 
1. 源泉名
2. 温泉の泉質
3. 源泉および温泉を公共の浴用または飲用に供する場所における温泉の温度
4. 温泉の成分
5. 温泉の成分の分析年月日
6. 登録分析機関の名称および登録番号
7. 浴用または飲用の禁忌症
8. 浴用または飲用の方法および注意
9. 温泉に水を加えて公共の浴用に利用する場合は、その旨およびその理由
10. 温泉を加温して公共の浴用に利用する場合はその旨およびその理由
11. 浴槽などで使用された温泉を再び浴槽などで使用する場合は、その旨(ろ過を実施している場合はその旨も含む)およびその理由
12. 温泉に入浴剤を加え、または温泉を消毒して利用する場合は、入浴剤の名称または消毒の方法およびその理由
 

弊社では、目的に応じた各種分析項目と分析セット(温泉中分析・温泉小分析)をご用意しております。
Link→ 温泉成分分析のご案内

 



こらぼ2017年秋号より抜粋