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水道水

水道水のにおいの原因は塩素
 日頃からの健康管理において、食事に最も気を配る人は多いのではないでしょうか。
 以前、量販店で販売されている一部のボトルウォーターの原材料が実は水道水だったことが大きな話題となり、飲料水に対する関心の高さを感じさせました。
 水道水には「おいしくない」や「におい(カルキ臭)が気になる」などマイナスなイメージがあり、水道水を直接飲むことに抵抗がある人もいるようです。
 水道水のにおい(カルキ臭)の原因は、消毒のために注入された塩素が残留したものです。水道水には感染症の原因となる病原微生物を消毒するために、蛇口から出てくる水に含まれる残留塩素が0.1mg/L(水道水1リットルあたり0.1mg)以上であることが義務づけられています。
 残留塩素が多過ぎると水のにおいや味に影響がありますが、適切な量の残留塩素は水質が安全であることの証なのです。

水道水をおいしく飲むために
 では、水道水をおいしく飲むにはどうすればいいでしょうか。一番簡単な方法は冷やすことです。生ぬるい水より清涼感が増し、おいしく感じることができます。
 また、水を沸騰させたり、一晩ほど汲み置きしたりすると、塩素が抜けてにおいが気にならなくなります。ただし、塩素のなくなった水は雑菌が繁殖しやすくなるため、冷蔵庫に入れたり、早めに飲んだりするなどの注意が必要です。
 近年、水道水をペットボトルに入れて販売する自治体などの水道事業体が増えています。これは利益を出すためではなく、水道水がおいしくなったことや安全であることを知ってもらうことを目的としているようです。
 水道水をそのまま飲めるのは世界でも少なく、15カ国程度だといわれています。日本の上水道普及率は97%を超えており、どこでも安全でおいしい水を飲むことができます。
 無駄なペットボトルを出さないことで二酸化炭素排出量を削減させるというエコの観点からも、水道水( もしくは水道水で作ったお茶など)を水筒で持ち歩いてみてはどうでしょうか。

福岡市の水道水について
 おいしい水の条件の1つである硬度は、水の中に含まれるミネラル類のうちカルシウムとマグネシウムの合計含有量で決まります。含有量が120mg/Lを超えるものを硬水、60mg/Lより少ないものを軟水といい、10〜100mg/L程度含まれていると癖がなくおいしい水といわれています。福岡市の水道水は約30〜60mg/L含まれており、軟水となります。
 福岡市の水道水の水質については、水道局が毎月市内8地点(各区1カ所、東区のみ2カ所)の給水栓(蛇口)で水質基準全項目検査(全51項目)を実施し、その結果をホームページで公表しています。
 水道法により、水道事業体などによる検査が義務づけられている水道水と違い、個人で飲用として使用する井戸水については水質検査の義務はありません。しかし、井戸水は地震や水害などによって水質が変化することもありますので、福岡市では定期的(1年に1回程度)な水質検査を勧めています。毎日飲み続ける飲料水ですので、水質を確認し、安心して使用されることをお勧めします。

おいしい水の要件と水質状況 
項目 簡単な説明 要件 福岡市の水道水
蒸発残留物 主にミネラルの含有量を示し、量が多いと苦み・渋みなどが増し、適度に含まれるとコクのあるまろやかな味がします。 30〜200mg/L 94 mg/L
硬 度 ミネラルの中で量的に多いカルシウム・マグネシウムの含有量を示し、硬度の低い水はくせがなく、高いと好き嫌いがでます。一般的にカルシウムに比べてマグネシウムの多い水は苦みが増します。 10〜100mg/L 39mg/L
遊離炭酸 水に含まれる炭酸ガスのことです。この成分は、水に爽やかな味を与えますが、多いと刺激が強く飲みにくくなります。 3〜30mg/L 2.0mg/L
過マンガン酸
カリウム消費量
有機物量を示し、多いと渋みをつけ、多量に含むと水の味を損ないます。 3mg/L以下
臭気強度 水につくにおいを数字で表したもので、数字が大きくなるほど不快な味がします。 3以下 1未満
残留塩素 水にカルキ臭を与え、濃度が高いと水の味をまずくします。 0.4mg/L以下 0.46mg/L
水温 夏場に水温が高くなると、あまりおいしくないと感じられます。冷やすことにより、おいしく飲めるようになります。 20℃以下 18.2℃
福岡市の水道水の数値は、市内8地点における給水栓水の平成27年度平均値を示しています。
平成16年の水質基準改正により、過マンガン酸カリウム消費量にかわる水中の有機物量の指標として、「全有機炭素(TOC)の量」が採用されたため、福岡市でもTOCの量を測定し、水道水中の有機物量を管理しています。
〈参考資料〉福岡市水道局ホームページ

 



こらぼ2016年秋号より抜粋