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トリハロメタン

 塩素は水道水の殺菌やプールの消毒など、いろいろな場面で使われています。塩素は水に入ると、さまざまな化学変化を起こし、その結果、単体の酸素を放出します。この酸素は非常に酸化力が強いので、殺菌に利用されます。

 塩素での消毒の目的は、ウイルス、細菌などの消毒・殺菌や植物プランクトンなどの殺藻、アンモニア性窒素や亜硝酸性窒素などの酸化、芳香臭、腐敗臭、硫黄水素臭などの脱臭です。しかし、塩素による消毒が原因で、水道水から発がん性物質であるトリハロメタンが検出され、大きな問題となっています。

 トリハロメタンは一般の水源中にはほとんど含まれていませんが、川や湖沼での植物の腐敗によってできる高分子有機酸や難分解性物質の代表であるフミン質と消毒用の塩素が化合してできる消毒副生成物であり、「発がん性」を有すると指摘されています。

 わが国の水道水基準はWHOの定義に従い、高い頻度で検出されるクロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルムの4つの化合物を対象としており、これらをトリハロメタンと総称しています。

 また、トリハロメタンは揮発性なので、お湯を沸かしてそのまま5〜15分煮沸すれば、水道水中に含有されていたトリハロメタンは揮発してしまいます。水道水を少しでも安全においしく飲料用にするには煮沸する、活性炭や中空系フィルターを通して使用するなどの対処法が必要です。



こらぼ2008年夏号より抜粋