CRCグループTOP > シー・アール・シー > よくある検査のご質問 >
麻疹の検査法の使い分けを教えてください。

麻疹(はしか)は麻疹ウイルスによる発熱と発疹を主な症状とする急性疾患です。

平成20年1月より、5類感染症全数把握疾患となったため、全医療機関で全例を届け出ることになりました。

届出に必要な病原体診断には、ウイルス分離やPCRを用いた遺伝子検査がありますが、保険適用がなく、検査に日数を要することから実用的ではありません。

通常、麻疹疑いの患者に対しては血清抗体検査を行います。

急性期にIgM抗体の検出、または急性期と回復期のペア血清による有意な抗体価上昇(または陽転化)で確認します。ペア血清ではHI法が適しています。

ただし、IgM抗体は発疹出現4日以内に採血された検体では陰性になる場合があります。さらにワクチン既接種者でワクチンによる免疫が低下して発症した修飾麻疹では急性期からIgG抗体が高値となりIgM抗体が陽性とならない場合があるため、抗体価の判定には十分な注意が必要です。

一方、ワクチン接種の目安として免疫能の有無を調べるには感度の高いIgG抗体やPA法が適しています。

また、ワクチン接種後の効果判定にはHI法やIgG抗体が適しています。

CF法は感度が低く、非特異反応によって測定不能となることがあるため、使用しません。

NT法は麻疹ウイルスを中和する抗体があるかどうかを見る方法で、免疫能をみるには理論上最も適した検査法ですが、煩雑な検査で時間を要するのが欠点です。

注意) HI法の検査試薬はワシントン条約による保護動物である「アフリカミドリザル」の血球を使用しているため、今後は他の測定法に移行するものと考えられます。


表.麻疹ウイルス抗体検査の使い分け
 自然感染の確定診断  IgM抗体、HI法(ペア血清)

 免疫能の有無

 IgG抗体、PA法、NT法
 ワクチン接種後の効果判定  HI法、NT法、IgG抗体