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クラミジア・トラコマチス抗体の臨床的意義は?

クラミジア・トラコマチス(性器クラミジア)感染症は最も多い性行為感染症(STD)です。女性では子宮頸管炎や卵管炎を起こし、炎症が進むと不妊症の原因になることもあります。妊婦の場合、まれに流産の原因になったり、出産時の産道感染により新生児が結膜炎や肺炎を起こします。男性では尿道炎や副睾丸炎を起こします。

検査法には患部からの擦過検体や初尿検体を用いるEIA法やSDA法、PCR法などの抗原系検査と血清抗体検査があります。

血清抗体価は初感染時にまずIgM抗体が1週間以内に上昇します。治療・無治療にかかわらず速やかに消失します(2ヵ月以内に陰性化)。再感染では上昇しません。IgG抗体は約1ヵ月後から上昇し、数年間持続します(約4年で陰性化)。IgA抗体はIgG抗体に遅れて5〜6週間で上昇し、数年間持続します(約3年で陰性化)。

一般に、感染症においては抗原検査についで、IgM抗体が活動性感染の指標となりますが、性器クラミジア感染症においてはIgM抗体上昇が十分ではないため、IgGとIgA抗体が測定されています。 ただし、新生児では母親から移行したIgG抗体が介在するため、IgM抗体を検査します。

抗体検査と抗原検査の一致率は30%と低く、IgG抗体およびIgA抗体陽性例には現在の感染と過去の感染が含まれ、鑑別できません。また、オウム病クラミジアや肺炎クラミジアと交叉反応が認められることから、抗体検査は抗原検出が困難な骨盤内感染症、卵管炎、副睾丸炎、新生児肺炎などの深部感染症の補助診断として利用されます。

抗体検査は性器クラミジアのスクリーニングとして使用される場合がありますが、感染初期には出現しないことが多く、治療しても残存することから、感染診断にはSDA法などの高感度な抗原系検査を行います。


〔参考〕
菰田照子:医学検査 54(3)、2005
日本医事新報 No.4248、2005