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シスタチンCの臨床的意義と利用法について教えてください。
腎臓の主な機能は糸球体で血液中の老廃物等を濾過して尿とともに排泄することです。正常では糸球体での濾過量(GFR)は一定に維持され、腎機能を知るうえで最も重要な指標です。

シスタチンCとは酵素による細胞質や組織の障害を抑え、細菌・ウイルスの増殖を抑制するプロテアーゼインヒビターです。シスタチンCは低分子で腎糸球体を自由に通過できる物質であるため、GFRの低下に伴い血中濃度は上昇します。

通常、腎機能検査として使用されている血清クレアチニンや尿素窒素は食事や筋肉量、運動の影響を受けますが、血清シスタチンC値は食事や炎症、年齢、性差、筋肉量などの影響を受けないため、小児・老人・妊産婦などでも問題なく測定できます。また、クレアチニン値はGFRが30mL/分(腎不全)前後まで低下した頃から上昇するのに対し、シスタチンC値はGFRが70mL/分前後の軽度〜中等度の腎機能障害でも上昇し、腎機能障害の早期診断にたいへん有用です。

したがって、血清クレアチニンや尿素窒素が正常であっても、尿検査で蛋白あるいは潜血反応に異常が認められた場合には早期腎症と考え、血清シスタチンCを検査します。血清クレアチニン値が既に高値(2mg/dL以上)であれば、シスタチンCを測定する意義はありませんが、軽度上昇例で評価が困難な場合、シスタチンC測定で腎機能をみていただくことをお勧めします。

表.腎機能検査の比較
検査項目 材料 感度
(GFRmL/分)
問題点
クレアチニン 血清 30以下 ・骨格筋量に依存して変動
・筋量の低下した高齢者の基準値設定が困難
・運動量による個体内変動あり
尿素窒素 血清   ・食事の影響
・組織蛋白の異化や肝機能により変動
・消化管出血、火傷で上昇
β2マイクロ
グロブリン
血清 50〜60以下 ・炎症や悪性腫瘍により偽高値
クレアチニン
クリアランス
血清
尿
70以下 ・蓄尿を必要
・外来患者、小児では正確な蓄尿が難しい
・尿を捨てた場合偽低値となる
シスタチンC 血清 70〜80以下 ・HIV感染、メラノーマや直腸癌、甲状腺機能障害などで影響
・薬剤による影響

〔参考〕 
堀田 修、他 : 日本腎臓学会誌 41(8)、1999
富野康日己 : Medical Technology 34(7)、2006