CRCグループTOP > シー・アール・シー > よくある検査のご質問 >

質問
尿蛋白/クレアチニン比で何がわかる?

 腎臓は私たちの体を正常に保つために、いろいろな働きをしています。血圧の調整や血液を作る司令塔としての働き、体液量やイオンバランスの調整、骨の強化などがあり、一番よく知られているのは、尿を作る働きでしょう。尿を作る際は血液を濾過し老廃物や塩分を体外へ排出すると同時に、体に必要な蛋白質やミネラルは体内にとどめる働きをします。
 
 しかし、腎臓機能に障害が起きると、蛋白質が尿に漏れ出てくるようになります。これが尿蛋白です。1日にどのくらいの蛋白質が、尿に排泄されているかを知る方法で一番正確なのは24時間蓄尿し、その中に含まれる蛋白を測定することですが、外来などで24時間蓄尿をすることは、現実的ではありません。そこで、随時尿に含まれる蛋白を尿クレアチニンで補正することで、おおよその排泄量を推定します。1日の尿クレアチニンの排泄量を1gとした場合の尿蛋白/クレアチニン比は、尿蛋白の1日排泄量とよく相関することが知られています。ただし、クレアチニンは筋肉量に左右されるため、極端に筋肉量に差がある方は解釈に注意が必要となります。
 
 腎臓の障害と腎臓の機能低下のいずれか、または両方が3カ月以上続いていると慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)と診断されますが、成人の約8人に1人の患者がいるとされ、新たな国民病とよばれています。このCKDは糸球体濾過量(GFR)と蛋白尿区分から、5つのステージに分類されます。蛋白尿の区分はCKDの原疾患が糖尿病かそれ以外の疾患によって尿アルブミンまたは尿蛋白が用いられます。
 
 腎臓はある程度障害を受けると元に戻ることはありません。CKDは初期の場合は症状を認めないことが多いので、もしも指摘されたら早めに医療機関を受診し、少しでもステージの進行を遅らせることが重要となります。
 

 
〈参考〉
 ・エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018 日本腎臓病学会