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質問
多剤耐性結核菌について教えてください。

 結核は感染症法において第二類感染症に分類されます。原因となる結核菌については、人為的な感染症の発生を防止するため、感染症法上は四種病原体として使用し、保管など基準の遵守が義務付けられています。ただし、薬剤耐性結核菌については三種病原体に分類される場合があり、所持などの届出が義務付けられるとともに、運搬などに規制が設けられ、より厳しい病原体の取扱いが求められます。
 
 三種病原体に該当する薬剤耐性結核菌の定義は、たびたび変更がなされてきました。当初、イソニアジドおよびリファンピシンに対し、耐性を有する結核菌が「多剤耐性結核菌(MDR-TB)」とされ、三種病原体に分類されました。その後、2015年にイソニアジドおよびリファンピシンのみならず二次抗結核薬(フルオロキノロン系薬剤、 カナマイシンなど)に耐性を有するものを「広範囲多剤耐性結核菌(XDR-TB)」とし、これも三種病原体となりました。さらに2021年10月には、WHOにおいて新薬の開発(例:ベダキリン、リネゾリド)およびフルオロキノロン薬の耐性率および使用状況の変化に伴い、XDR-TBの定義が変更されました(下表)。
 
 このようなWHOにおけるXDR-TBの定義変更に伴い、国内での法改正(2023年5月26日公布)が行われ、結核菌はWHOのXDR-TB新定義に該当する場合が三種病原体となります。
 
※別名:超多剤耐性結核菌
 

 
〈参考〉
 ・厚生労働省Webサイト 「超多剤耐性結核菌の基準と第3種病原体の定義の見直しについて」