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質問
血清型不明の腸管出血性大腸菌について教えてください。

 大腸菌の血清型はO抗原(細胞壁由来)とH抗原(鞭毛由来)を組み合わせたO:H 型により表され、 疫学調査などに使用されています。
 
 一般的にはO157、O26などO抗原(群)で表示されることが多いと思います。血清型の種類は2020年3月時点で、O1からO188までのO群と、H1からH56までのH型が規定されています(デンマーク国立血清学研究所が管理)。
 
 しかし、国内メーカーから販売されている大腸菌免疫血清は50種類のO群と22種類のH型のみであり、それ以外の血清型については調べることができません。また、腸管出血性大腸菌は、O157 やO26、O111などの血清型がよく知られていますが、それ以外のさまざまな血清型や、国内で市販されている大腸菌免疫血清では血清型判別ができない腸管出血性大腸菌も報告されています。
 
 行政機関などでは、市販の大腸菌免疫血清以外の血清型も調べることは可能ですが、国立感染症研究所から報告された資料では、2022年に感染者から分離された腸管出血性大腸菌(EHEC)1583件のうち、71件(4.5%)がuntypable(血清型不明)とされています。また、腸管出血性大腸菌はベロ毒素(Verotoxin=VT、またはShiga toxin=Stxと呼ばれている)の産生を確認することが重要であり、血清型で腸管出血性大腸菌と決定されるわけではありません。
 
※混合血清に含まれないO45およびO104を加えると52種類
 
〈参考〉
 ・ウェブサイト NIID国立感染症研究所IASR