CRCグループTOP > シー・アール・シー > よくある検査のご質問 >

質問
定量培養について教えてください。

 定量培養は、主に喀痰や尿培養において行われます。通常培養同定を行うと細菌名の後に”1+、3+”といった表記がなされていますが、定量培養では、”103/mL、107/mL”といった1mL中の菌量(colony forming units)で表記されます。前者の”1+、3+”という表記法は培地上での細菌の量を大まかに表したもので、検査施設によって、「−〜3+」の4段階表記や、「−〜4+」の5段階表記を採用しているなど、統一されていません。
 
 定量培養の場合、実施方法はさまざまですが、表記される菌量については統一された結果となります。定量培養の結果解釈については、喀痰や尿では定量培養の結果で得られた菌量によって原因菌か否かを判断するという考え方があります。喀痰は口腔内常在菌による汚染が避けきれない材料であり、原因菌を判断しかねる場合が少なくありません。
 
 感染症の原因菌であれば、口腔内で汚染された菌よりも数量的に多く存在するであろうとの考え方から定量培養が行われ107/mL以上が有意菌と考えられています。ただし喀痰の場合は、検体の特性上、菌の分布が必ずしも均一ではないためにバラツキが生じる可能性があります。また尿においては一般的には105/mL以上が有意な細菌尿と認識されています。
 
 しかし、どのような患者からどのような手法により採取されたかによって、解釈が異なる場合があります。検体の状態や、化学療法施行例などでは必ずしも菌量が増加しない場合もあることから、菌量が多ければ有意菌、菌量が少なければ常在菌や汚染菌であるという単純なものではなく、患者背景や症状も考慮して判断していく必要があります。
 
〈参考〉
 ・検査と技術 Vol.49 No.3 
 ・増刊号 First&Next Step 微生物検査サポートブック
 ・日本化学療法学会雑誌 Vol.64 No.3
 ・尿路性器感染症に関する臨床試験実施のためのガイドライン -第2版-