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質問
血液培養を行う血液は動脈血と静脈血どちらの方が良いですか?

 「静脈血」が推奨されています。以前は亜急性細菌性心内膜炎の場合、静脈血より動脈血の方が菌の検出率が高いという認識もありましたが、近年は動脈血も静脈血も検出率には差がないという報告があり、それが現在の認識になっています。むしろ、血液培養の血液量を増やすことで菌の検出率が上がるとの報告があり、複数の血液培養が推奨されています。
 
 複数の血液培養とは、24時間以内に2セット以上の血液培養を行うことで、1回の患者エピソードにつき2〜3セットの血液培養が望まれます。1セットは1カ所の採血部位から1本ないし、複数本の培養ボトルに接種された血液培養と定義されます。典型的な2セットは左右の上肢から採血され、それぞれ好気ボトル、嫌気ボトルに接種、合計4本となります。
 
 また、皮膚には常在菌が多数存在するため、採血時の常在菌によるコンタミネーションを少なくする必要があり、採血前の皮膚の消毒が重要です。そのため、動脈血と比較し採血時の皮膚消毒が容易で、採血しやすい静脈血が推奨されています。ただし、静脈からの採血が困難な場合は動脈からの採血による血液培養を実施することもあると思われます。
 
 ちなみに血管内留置カテーテルから採取された血液は、穿刺して採血された血液より2倍の汚染菌が検出されるという報告があります。そのため、血管内留置カテーテルからの血液採取は行わず、清浄な皮膚の静脈穿刺による採血が望ましいとされています。2セット採血は血液ボトルの種類にもよりますが、合計で40mL程度の採血が必要となります。採血量は多くなりますが、感染症の原因微生物を特定し適切な治療を行うための重要な検査です。
 
〈参考〉
 ・CUMITECH血液培養検査ガイドライン2007年
 ・日本臨床微生物学雑誌血液培養検査ガイド2013年
 ・BD血液培養実践マニュアル第2版2019年