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質問
急性肝炎の検査は何がありますか?

 まず基本的検査として、肝障害度を示すAST、ALT、ビリルビンや肝合成能などを反映したアルブミン、コリンエステラーゼ、PTでの評価が必要です。
 
 急性肝炎の原因としてウイルス性、自己免疫性、薬物性肝炎があります。
 
 急性ウイルス性肝炎の原因となるウイルスとしては、肝炎ウイルスであるA型、B型、C型、D型、E型肝炎ウイルスと非肝炎ウイルスのサイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、EBウイルスなどがあります。発症時期によっては、ウインドピリオドの関係でスクリーニング検査では陰性となる場合があるため、必要に応じてRNAやDNAの検査が有用です。
 
 自己免疫性肝炎は抗核抗体(陽性)や抗平滑筋抗体(しばしば陽性)、抗LKM-1抗体(ときに陽性)あるいはIgG(>基準上限値1.1倍)などで診断します。しかし、これらの検査では陰性例のことも多く、可能な限り肝生検を施行することが望ましいとされています。
 
 薬物性肝障害の診断には、薬物投与と肝障害の出現と消退の時間的関係、他の原因の除外診断の2つが重要です。薬物性肝障害の原因として抗生剤14.3%、健康食品10%、解熱・鎮痛・抗炎症薬9.9%、漢方薬7.1%とされています。肝障害のタイプは肝細胞障害型、胆汁うっ滞型および両者の混合型の3つに分類されます(下表)。この分類に基づき、日本消化器関連学会週間2004のワークショップでの診断基準を用いて診断します。
 

 
〈参考〉
・臨床検査のガイドライン2021.一般社団法人日本臨床検査医学会
・臨床検査データブック2021-2022.医学書院