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質問
淋菌の薬剤耐性状況について教えてください。

 淋菌によって引き起こされる感染症は、そのほとんどが性感染症です。主に男性は尿道炎、女性は子宮頸管炎を起こします。また、精巣上体炎、卵管炎、骨盤内炎症性疾患、肝周囲炎、バルトリン腺炎、関節炎、咽頭感染、結膜炎、直腸感染など、全身の至るところに感染症をきたします。
 
 男性の尿道炎は症状が出現しやすいものの、子宮頸管炎は無症状の場合もあり、さらに咽頭感染ではほとんどの場合無症状であるため、感染源として問題となっています。
 
 以前、淋菌の治療は、ペニシリン、テトラサイクリン、サルファ剤、キノロン剤、経口セファロスポリン剤が第一選択薬として推奨されていましたが、これらの薬剤に耐性を示す淋菌が出現し、治療効果が期待できなくなりました。現在、国内ではセフトリアキソン1g静注単回投与が第一選択に推奨されています。スペクチノマイシンも利用可能ですが、口腔内の淋菌には効果が認められていません。
 
 2009年、我が国でセフトリアキソンに対する耐性株が世界で初めて分離されたことが報告されています。その後フランス、スペインでも耐性株が報告されました。セフトリアキソン耐性株の蔓延は認められていませんが、低感受性株の増加は各地で報告されており、その動向が注視されています。
 
表.淋菌感染症に対する推奨抗菌薬

淋菌性尿道炎・子宮頸管炎 第一選択:セフトリアキソン 静注 1g 単回投与
第二選択:スぺクチノマイシン 筋注 2g 単回投与
淋菌咽頭感染 セフトリアキソン 静注 1g 単回投与
出典:(一社)日本性感染症学会 性感染症 診断・治療 ガイドライン2016
 
〈参考〉
・検査と技術 Vol.46 No.3 2018年3月増刊号
・モダンメディア 65巻12号2019「話題の感染症」現代の淋菌感染症
・日本性感染症学会誌 性感染症 診断・治療 ガイドライン2016