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質問
新型コロナウイルスの新規変異株オミクロン株とは?

 オミクロン株は基準株と比較して、ウイルス表面のスパイクタンパク質に30カ所程度のアミノ酸置換(変異)があり、3カ所の小欠損と1カ所の挿入部位を持つ特徴があります。このうち15カ所程度の変異がウイルスの感染力に関わる受容体結合部位(RBD:Receptor binding protein)にあるため、感染力がデルタ株の3〜4倍程度まで高まっています。
 
 デルタ株と比較するとインフルエンザウイルスと似通った軽症(せき、息切れ、息苦しさ、寒気、発熱、筋肉痛、関節痛、嘔吐、下痢など)にとどまる傾向が認められ、嗅覚・味覚異常や重篤な肺炎症状は少ないとされています。WHOの報告では喉や気管支など上気道でのウイルス増殖力が強まっているが、肺では弱くなっているとされています。
 
 従来の新型コロナウイルスに感染して発症するまでの潜伏期間は5日程度とされていました。しかし、オミクロン株はウイルスの増殖速度が速いため、潜伏期間が3日程度と従来よりも2日、デルタ株よりも1日は短縮されています。
 
 また、オミクロン株では多くの変異を持つため新型コロナウイルスのワクチンの2回接種者でも感染してしまうブレイクスルー感染例も多く報告されており、既存の新型コロナワクチンの感染予防効果があまり高くない可能性はあります。しかし、重症化を防ぐ効果は保たれていると考えられるため、高齢者や基礎疾患を持つ方などではブースター接種による重症化予防効果を再び高めることが期待されます。
 
〈参考〉
国立感染研究所:SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)について(第6報)