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質問
酵母様真菌の薬剤感受性試験結果に表示される数値(MIC値)について教えてください。

 MIC値(Minimum Inhibitory Concentration:最小発育阻止濃度)は、寒天平板希釈法や微量液体希釈法による薬剤感受性試験を実施した際、細菌の発育を阻止できる最小薬剤濃度を表しています。したがって、数値が低いほどその抗生物質の効果は高い(感受性)という解釈になります。逆にその数値が高いほど効果が低い(耐性)となります。しかし、MIC値が得られても実際に治療に使用して効果があるのか否かの予測がわかりにくいため、ブレイクポイントが設定されています。
 
 ブレイクポイントは、薬剤感受性検査結果から、抗菌薬の治療効果を予測するために使用する基準値でS(感受性)、I(中間)、R(耐性)などで結果が表されます。ブレイクポイントには日本化学療法学会が提唱している呼吸器感染症、敗血症および尿路感染症に対する抗菌薬ブレイクポイント、アメリカのClinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)あるいはヨーロッパの European Committee on Antimicrobial Susceptibility Testing(EUCAST)が提唱しているブレイクポイントがそれぞれ存在します。
 
 日本では、CLSIのブレイクポイントが多くの施設で採用されていますが、酵母様真菌のブレイクポイントについては、設定されていない薬剤や菌種もあります。抗菌薬の臨床的な効果は、MIC値、体内動態、感染臓器への移行、副作用等を総合的に評価し判断していく必要があります。
 
 
 
〈参考〉
・臨床検査Vol.64 No.7 2020年07月号 特集2 薬剤耐性カンジダを考える