CRCグループTOP > シー・アール・シー > よくある検査のご質問 >

質問
結核の検査について教えてください。

 結核は、結核菌が感染することによって発症しますが、感染したからといってすべて発症するわけではありません。結核の検査を進める場合、その目的によって検査法を選択していく必要があります。結核の「感染」を調べる検査は、ツベルクリン反応検査やインターフェロンγ遊離試験(IGRA検査)があります。結核の「発病」を調べる検査として、胸部X線検査(肺結核)や結核菌を検出する細菌検査、遺伝子増幅検査があります。細菌検査は顕微鏡による塗抹検査や分離培養検査が行われます。塗抹検査は迅速性に優れますが、感度が十分ではありません。
 
 また、陽性となっても結核菌なのか、それ以外の抗酸菌なのか、区別はできません。分離培養検査は塗抹検査に比べて高感度であり、検出された菌株で薬剤感受性試験や同定検査、疫学調査も行うことが可能となります。しかし、培養で結核菌が検出されるまでには週単位の日数を要します。近年は、MGIT法などの液体培地を使用した分離培養が主流となり、より高感度で培養日数の短縮化が図られています。
 
 結核を疑う場合、検査は1日1回、連続して3日間行うことが推奨されています。なぜなら、1回だけの検査では、20%程度「陽性」を見逃す可能性があるといわれているからです。
 
 遺伝子増幅検査は、塗抹検査よりも高感度で、培養検査よりも迅速であることから臨床的有用性が高い検査であり、PCR法やLCR法、LAMP法などが実施されています。塗抹検査で抗酸菌が陽性だった場合、迅速的に結核菌の確認を行うために、遺伝子増幅検査を薦めています。注意点として菌が死滅していても遺伝子さえ存在すれば陽性になるため、治療経過のフォローアップには原則使用できません。
 
 結核患者との接触者健診が目的であれば、IGRA検査(QuantiFERON TB ゴールドプラスやT-SPOT.TB)が実施され、IGRA検査陽性者に対しては、胸部X線検査を実施します。
 
 結核の発病は感染後1年以内に起こることが最も多く、約80%は2年以内といわれているので、経過観察が必要です。
 
〈参考〉
・抗酸菌検査ガイド2016 日本結核病学会 抗酸菌検査法検討委員会(編)
・感染症法に基づく結核の接触者健康診断の手引き(改訂第5版)