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質問
ALPの検査方法が2020年4月から変更になるのですか?

 当社で測定している血清アルカリホスファターゼ(ALP)は、JSCC常用基準法の測定試薬を用いて測定しています。これは供与体基質である4-ニトロフェニルリン酸(4-NPP)と受容体基質で緩衝液成分でもある2-エチルアミノエタノール(EAE)を用いた測定法で、肝、骨、小腸、胎盤の各アイソザイムに対する反応性がほぼ均一となっています。EAE緩衝液は肝硬変などで上昇する小腸型を感度良く測定するためですが、血液型B・O型でSe(Fut2)分泌型の場合は、疾患と無関係に食事(とくに高脂肪食)の後に小腸型ALPが上昇し、健常人でも高値を示す一因となり問題提起されていました。    
 一方、国際臨床化学連合会(IFCC)では、臨床的意義を高めるには小腸型ALPの反応性を低く抑えて肝・骨型優位な条件で測定すべきとして、受容体基質である緩衝液に2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)を用いた測定法をIFCC基準測定法として提示しています。日本を除く国においてIFCC基準測定操作法に準じた試薬で測定されているのが現状で、わが国独自の測定方法では国際的な治験に参加することが難しい状況になっています。
 
 これらを踏まえて、日本臨床化学会は2020年4月より1年の移行期間を設けて、IFCC測定法への変更を決定しました。変更後は活性値(測定値)が約1/3となり、基準値も変更になります。
 
 ALPと同様に、血清乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)に関しても、国際的調和の必要性からIFCC測定法への変更が決定しています。LDHに関しては、LDH5が優位の場合にJSCC法が高値傾向となりますが、相関性は良好であり活性値には大きな差異はないことから現行の基準範囲がそのまま適用されます。
 
※ALP:IFCC基準範囲 38〜113 U/L