CRCグループTOP > シー・アール・シー > よくある検査のご質問 >

質問
 血液培養実施のタイミングと採取血液量について教えてください。

回答
 血液培養は、敗血症や菌血症、感染性心内膜炎が疑われる場合や不明熱の場合にも実施されます。
 
 採血は抗菌薬投与前に行うのが原則ですが、やむなく抗菌薬投与中の患者で行う場合は、一時中止(1〜3日)後採血します。中止できない場合は、血液中の抗菌薬濃度が最も低い時期(次回の抗菌薬投与前)に採血します。採血のタイミングは、悪寒戦慄が出現しはじめた時や発熱の初期が血液中の菌数が最も多いとされ、この時期が最適です。
 
 実際問題として、血液培養は通常発熱の後に採取されますが、この時までに血液はクリアランス・メカニズムのため無菌状態になっている可能性があります。したがって発熱または悪寒の後、できるだけ早く採取しなければなりません。
 
 採血部位は、2カ所から行います。通常は左右の正肘静脈が用いられます。2カ所から行う理由は検出された菌がコンタミネーションなのか原因菌なのかを判断に役立てること、より多くの血液を培養することで検出感度を上げるためです。
 
 採血量はある一定の量までは菌の検出感度と相関関係にあるといわれており、血液量20mLでは10mLに比べ30%検出率を上昇させ、30mLでは10mLに比べ47%上昇させますが、40mLでは30mLに比べ7%の増加に留まったとの報告があります。したがって、成人の採血量は1セットあたり20〜30mLが適当とされており、1回につき2セット(2カ所から)採血します。
 
 回数は24時間以内に2〜3回とされています。採取した血液は血液培養ボトルに注入し、速やかに検査室へ搬送して血液培養装置へセットします。やむをえず放置する場合は、室温で保管し、できるだけ速やかに血液培養装置へセットします。
 
 血液培養から菌が検出された場合はすぐに主治医へ連絡、抗菌薬治療を開始または抗菌薬の変更など、適切な対応を行う必要があります。
 
【参考】
・CUMITECH 血液培養検査ガイドライン2007年
・日本臨床微生物学雑誌 血液培養検査ガイド2013年