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LDLコレステロール値が直接法と計算法で乖離するのはなぜですか?

血清中のLDL-C値を求める方法としては直接法とFriedewald推定式(F式)から算出する計算法があります。
 F式:LDL-C=TC−HDL-C−TG/5

この計算式は、血清中にカイロミクロンが存在しない場合やIII型高脂血症を除いて、血清のTGのほとんどがVLDLに存在し、そのコレステロールとTGの比がほぼ1:5であるという仮定に基づいています。そのため、食後採血やI型、V型高脂血症などカイロミクロンを含む場合は使用できません。III型高脂血症ではVLDLのコレステロールとTG比が変わるため、偽高値となります。また、TGが高くなるにつれてVLDLやカイロミクロンのコレステロール含有量がTGの1/5よりも少なくなることから、計算式で求めたLDL-C値は実際より低くなります。よって、F式が適用できるのはTGが400mg/dL未満とされています。しかし、TGが200mg/dLを超えるあたりからだんだん誤差が大きくなります。

一方、LDL-C直接法は食事の影響を受けにくいことから多用されています。しかし、直接法の試薬間ではIDLに対する反応性に差があるため、IDLが増加するIII型高脂血症、糖尿病などで乖離することがあります。

LDL-C直接法、計算法ともに冷蔵保存で2日間は測定値に大きな変化はありませんが、それ以上の保存では、計算法ではLPLによるTGの低下やCETPによるHDL-Cの低下によって見かけ上LDL-C値は時間の経過とともに高くなります。直接法ではリポ蛋白の変性で反応性が変化し、高くなる試薬とそうではない試薬とがあります。

日常検査において、LDL-C値の直接法と計算法で差を生じる要因の1つに食事によるTG値の上昇が考えられます。

食後や空腹時TGが400mg/dL以上の場合は直接法で検査するか、またはnonHDL-Cを求めます。
 nonHDL-C=TC−HDL-C

  TC:総コレステロール
TG:中性脂肪
LDL-C:低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール
HDL-C:高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール
VLDL:超低比重リポ蛋白
IDL:中間比重リポ蛋白
LPL:リポプロテインリパーゼ
CETP:コレステロールエステル転送蛋白

 

図.食後のLDL-C値 直接法と計算法

【参考】
・動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版 日本動脈硬化学会
・井上郁夫、他:医学と薬学 60(3)553-559、2008