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多尿のときの検査の進め方は?

1日の尿量が3L以上を多尿といい、溶媒(水)そのものが多い水利尿、溶質が多い浸透圧利尿とその両者の混合に大別されます。水利尿の代表的疾患が尿崩症、浸透圧利尿の代表的疾患が糖尿病、混合性利尿は血糖コントロール不良な糖尿病を有する腎不全などでみられます。

水利尿と浸透圧利尿の鑑別では、まず尿比重を測定します。さらに確定診断のために尿浸透圧を測定します。

血漿と浸透圧が等しい尿を等張尿といい、浸透圧300mOsm/L、尿比重1.010に相当します。尿浸透圧が300mOsm/L以下、ことに150mOsm/L以下、尿比重1.005以下の低張尿なら水利尿、300mOsm/L以上の高張尿であれば浸透圧利尿の可能性が高いといえます。ただし、尿浸透圧の値は飲水量、食物の摂取量、発汗、発熱、嘔吐、下痢などにより影響されるため、尿浸透圧の評価は血清浸透圧と比較して判断する必要があります。

水利尿の場合、抗利尿ホルモン(ADH)の低下によって腎臓での水再吸収抑制により生じると考えられていることから、ADHを測定します。水利尿ではADHの分泌不全(中枢性尿崩症など)、ADHの腎臓での不応性(腎性尿崩症など)ならびに心因性多尿を鑑別します。

一方、浸透圧利尿の場合、尿中電解質(尿中Na、尿中K)や尿糖、尿中尿素窒素を測定することで原因を特定します。

表.多尿を来す病態と疾患
 
A.水利尿
 1.ADH分泌低下 中枢性尿崩症
薬剤(オピオイド拮抗薬、α2受容体刺激薬など)、寒冷利尿
 2.ADHの腎での反応低下 腎性尿崩症
 3.薬剤 炭酸リチウム、アムホテリシンBなど
 4.心因性多尿  
B.浸透圧利尿
 1.電解質 生理食塩水投与、利尿薬、腎不全
低アルドステロン症、Na利尿ペプチド増加時
 2.非電解質 マンニトール、血管造影剤、糖尿病、腎性糖尿
高蛋白食、経管栄養、高カロリー輸液など

【参考文献】 臨床検査のガイドラインJSLM 2012