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鉄結合能をみる検査はTIBCとUIBCはどちらが有用ですか?
鉄は赤血球におけるヘモグロビン合成、細胞内の酸化還元反応および細胞増殖のために必須な金属ですが、過剰に存在すると活性酸素を産生し細胞障害を起こす毒性を示します。健常成人の総鉄量は約4gで約2/3はヘモグロビンに、1/3弱がフェリチン、ヘモジデリンの形で貯蔵鉄としてプールされています。血漿中の鉄は全体の0.1%程度で、βグロブリン分画に含まれるトランスフェリン(Tf)に結合しています。これを血清鉄と呼びます。

鉄と結合していないTfを鉄の結合能力に換算したものが不飽和鉄結合能(UIBC)、鉄結合TfとUIBCを合わせて総Tfとなり、これを総鉄結合能(TIBC)といいます。

TIBC=UIBC+血清鉄(μg/dL)

血清鉄には日内変動があり、早朝に高く、夜間睡眠中に最も低く、最高値が最低値の2倍以上を示すこともあります。UIBCは血清鉄とは逆に朝低く、夕方高くなります。Tfの半減期は9日であるためTIBCには日内変動が認められません。鉄欠乏状態あるいは鉄過剰状態を疑った場合に検査しますが、血清Tf濃度は鉄欠乏状態で増加し、慢性感染症や悪性腫瘍などで低下するので、検査結果の解釈には項目単独ではなく、血清鉄、UIBC、TIBCを併せて測定し評価します。

TIBC、UIBCの測定方法には血清鉄と同じ原理の比色法とCPBA法がありますが、前者は鉄量から間接的に測定し、後者は直接に結合能を測定します。一般的に比色法で血清鉄と同時測定されます。ただし、赤血球中にはヘモグロビン鉄が存在するため、溶血は正誤差を与えます。また健常人の血清鉄は極めて微量で外部汚染の影響を受けやすいため、予想外の高値の場合は採血・保存での鉄の混入の可能性を考えます。


表.各疾患における血清鉄、UIBC、TIBCの動態
病態 血清鉄 TIBC UIBC
鉄欠乏性貧血 ↓↓ ↑↑ ↑↑
再生不良性貧血 ↑↑ →↑ ↓↓
悪性貧血 →↑ →↑
溶血性貧血 →↑↓ →↓
慢性出血性貧血 ↓↓
真性多血症 〜↓
白血病
感染症
急性肝炎 ↑↑ →↓
慢性肝炎 →↑ →↓ →↓
肝硬変症 →↑ →↓
出典) 臨床検査法提要改訂第33版、2010