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透析患者で高値となる腫瘍マーカーを教えてください。
日常臨床において腫瘍マーカー検査はがんの補助診断や高値を示した患者の術後の経過観察、各種治療効果の判定および予後診断に有用であり、最近はがん検診にも使用されています。

しかし、腫瘍マーカー検査の感度・特異度は十分ではなく、がんの有無と関係なく、良性疾患や生理的変動により高値となることが知られています。

特に、透析患者が腫瘍マーカー検査をスクリーニングとして利用する場合は、腎機能不全にもとづく代謝・排泄障害や透析治療が影響する腫瘍マーカーの判定には注意が必要です。

透析患者で高値をとることが報告されている腫瘍マーカーにはCEA、CA19-9、SCC抗原があります。

CEAは大腸がんや胃がん等の消化器癌をはじめ肺がん、乳がん、卵巣がんなどで高い陽性率を示し、術後の経過観察に重要な検査です。良性疾患では肺炎、潰瘍性大腸炎、慢性肝炎、糖尿病、喫煙で上昇し、透析患者では健常者よりも3倍近い高値となります。

CA19-9は膵臓がんや胆管がん、胃がん、大腸がんで高い陽性率を示します。良性疾患では慢性膵炎、胆管炎、肝機能低下、子宮内膜症などで上昇し、透析患者では健常者の2倍値といわれています。

SCC抗原は子宮頸がん、食道がん、肺がん等の扁平上皮癌で高値となりますが、正常扁平上皮にも存在するため皮膚疾患や肺疾患でも高値となります。汗や唾液、尿に大量に含まれ、透析患者では健常者より血中濃度が4倍程度上昇します。


表.主な腫瘍マーカー基準値
腫瘍マーカー 健常者 透析患者 単位
 AFP 10以下   ng/mL
 CA15-3 25.0以下   U/mL
 CA19-9 37以下 76以下 U/mL
 CA125 35以下   U/mL
 CEA 5.0以下 13.8以下 ng/mL
 PIVKAII 40未満   mAU/mL
 PSA 4.0以下   ng/mL
 SCC抗原 1.5以下 6.5以下 ng/mL
 シフラ 3.5以下   ng/mL

〔参考〕
透析患者の検査値ハンドブック改訂3版、2010
腫瘍マーカーハンドブック改訂版、2009