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百日咳抗体のPT抗体とFHA抗体の違いと意義を教えてください。

百日咳の診断は病原体である百日咳菌の検出(分離)ですが、発症後3週間での検出率は1〜3%と低く、臨床的に典型な百日咳例は55.3%、特に成人の百日咳例は2.2%と低いことから、発症後4週間以上の場合は百日咳抗体検査を行います。

従来、細菌凝集反応による百日咳抗体(山口株、東浜株)検査が汎用されてきましたが、試薬製造中止に伴い現在では検査受託していません。

百日咳抗体(EIA)検査は百日咳から分泌される百日咳菌毒素(PT)と菌体表面に存在し宿主への感染成立に関与する接着因子の1つである繊維状赤血球凝集素(FHA)に対するそれぞれのIgG抗体価を測定します。百日咳感染後90%以上でPT抗体およびFHA抗体が検出でき、咳などの症状が現れた2〜3週間後から抗体価の上昇が認められます。

PT抗体は百日咳菌に最も特異性が高い検査で感度76%、特異度99%、感染後平均4ヵ月半で著明に減少し始め、1年以内に82%は陰性化すると報告されています。このため、単血清でPT抗体価が100EU/mL以上あれば、最近(4週間以内)の百日咳感染の指標となります。

一方、FHA抗体はパラ百日咳菌など他の菌体にも存在するため交差反応があり、ワクチン接種を行った健常者で高力価での保有率が高いことから診断には用いません。

DPT三種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風)ワクチンに含まれる百日咳ワクチンにはPTとFHAが主要抗原として使用されているため、ワクチン接種の効果判定に有用です。



図.百日咳血清診断の目安
図.気管支喘息患者のガの特異IgE陽性率

〔参考〕
咳嗽に関するガイドライン第2版
日本呼吸器学会、2012