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腎機能の評価法として推算GFRの使い分けを教えてください。

腎機能を評価する方法として糸球体濾過量(GFR)を測定します。GFRの世界的標準はイヌリンクリアランスですが、煩雑な検査であるため、臨床的にはクレアチニンクリアランス(Ccr)や推算式が用いられてきました。Ccr検査は保険点数がなくなり、現在では日本腎臓学会が提唱する日本人による推算GFR(eGFR)が一般的に使用されています。

eGFRは血清クレアチニン値と年齢、性別から算出されるため、長期臥床によって筋肉量が減少している場合や栄養状態が悪い場合は血清クレアチニンが低値となり腎機能が過大評価されます。

逆に運動や肉類の摂取、薬剤投与などで血清クレアチニンが高くなる場合は腎機能が過小評価されます。

また、eGFRは体表面積が1.73m2の標準的な体型(170cm、63kg)に補正した場合のGFR(mL/分/1.73m2)が算出されるため、体格の小さな症例では腎機能が過大評価されます。さらに標準的な体格と大きく異なる場合は体表面積(BSA)で補正します。

eGFR(mL/分=eGFR(mL/分/1.73m2)×BSA/1.73

eGFRでは血清クレアチニン、年齢、性別の3項目にBUN、アルブミンの2項目を加えた5項目の式もありますが、3項目の式の方が簡便なことから汎用されています。

2012年には血清シスタチンCに基づくeGFRcysが報告されました。血清シスタチンC値は筋肉量や食事・運動の影響を受けにくいため、血清クレアチニンによるeGFRの信頼性が低いと思われる場合に有用です。すなわち、長期臥床例や小柄な高齢女性、アスリートや運動習慣のある高齢者などではeGFRcysがより適切です。逆に、シスタチンCは進行した腎障害では正確に反映せず、妊娠やステロイドなどの薬剤投与で影響を受けます。より正確なGFRが必要な場合にはeGFRとeGFRcysの両方を測定・算出し平均値を用いると正確度が改善するといわれています。ただし、いずれも18歳以上に適用され、小児の腎機能評価には用いません。




表.CKD の重症度分類
原疾患 蛋白尿区分 A1 A2 A3
糖尿病 尿アルブミン定量
(mg/日)
尿アルブミン/Cr比
(mg/gCr)
正常 微量アルブミン尿 顕性アルブミン尿
30未満 30〜299 300以上
高血圧
腎炎
多発性嚢胞腎
不明
その他
尿蛋白定量
(g/日)
尿蛋白/Cr比
(g/gCr)
正常 軽度蛋白尿 高度蛋白尿
0.15未満 0.15〜0.49 0.50以上
GFR区分
(mL/分/
1.73m2
G1 正常または
高値
≧90
G2 正常または
軽度低下
60〜89
G3a 軽度〜
中等度低下
45〜59
G3b 中等度〜
高度低下
30〜44
G4 高度低下 15〜29
G5 末期腎不全
(ESKD)
<15

重症度は原疾患・GFR 区分・蛋白尿区分を合わせたステージにより評価する。CKD の重症度は死亡、末期腎不全、心血管死亡発症のリスクを緑のステージを基準に、黄・オレンジ・赤の順にステージが上昇するほどリスクは上昇する。


〔参考〕
CKD診療ガイド2012、日本腎臓学会