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サイロイドテスト、マイクロゾームテストと抗Tg抗体、抗TPO抗体の違いは?

自己免疫性甲状腺疾患である橋本病(慢性甲状腺炎)やバセドウ病において、甲状腺自己抗体の抗サイログロブリン(Tg)抗体や抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体が高率に検出されます。

日本甲状腺学会の「橋本病の診断ガイドライン」では、バセドウ病など他の原因が認められないびまん性甲状腺腫大を認め、抗Tg抗体あるいは抗TPO抗体が陽性ならば橋本病と診断します。また甲状腺機能異常も甲状腺腫大も認めないが抗Tg抗体あるいは抗TPO抗体が陽性の場合は橋本病疑いとします。つまり、両抗体は橋本病の診断の指標として検査され、将来的に甲状腺機能低下症になる可能性を示唆します。

バセドウ病でも高率に陽性となりますが、診断において必須ではなく、測定値に関わらず橋本病との鑑別に用いることはできません。また亜急性甲状腺炎の経過中に弱陽性を示すことがあり、膠原病や1型糖尿病などの自己免疫性疾患でも陽性となることがあります。一般成人での陽性率は5〜10%、加齢とともに上昇します。

従来から間接凝集反応(PA法)で半定量的な測定法としてサイロイドテスト、マイクロゾームテストが使われていましたが、最近ではTgあるいはTPOを抗原として血中抗体を直接定量的に測定する抗Tg抗体、抗TPO抗体検査が使用されています。測定法はRIA、EIA、CLEIA等があり、現在は最も高感度なECLIAが広く使用されています。抗Tg抗体、抗TPO抗体はそれぞれサイロイドテスト、マイクロゾームテストに比べて感度、特異性、再現性に優れた測定法です。橋本病における陽性率は、抗Tg抗体97%>抗TPO抗体75%>マイクロゾームテスト63%>サイロイドテスト44%の順であることから、橋本病の診断ではまず抗Tg抗体を測定します。ただし、抗Tg抗体陰性、抗TPO抗体陽性患者も存在するため、陰性の場合は抗TPO抗体を測定します。

表.抗体陽性で橋本病と診断した場合の感度、特異性、正診率
検査項目 感度(%) 特異性(%) 正診率(%)
サイロイドテスト 44.0 97.0 60.2
マイクロゾームテスト 62.7 97.0 73.1
抗Tg抗体 97.3 93.9 96.3
抗TPO抗体 74.7 93.9 80.6
〔参考〕
笠木寛治、他:ホルモンと臨床43、1995