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一過性高ALP血症について教えてください。

アルカリフォスファターゼ(ALP)は肝、胆管系、骨、甲状腺、胎盤、小腸、腎などに分布し、肝胆道系疾患や骨疾患などで活性値が上昇することが知られています。また、疾患とは別に年齢、性別、血液型などの生理的要因により活性値が異なるため、上昇の判定には注意が必要です。

特に、小児期は骨の成長に伴い、骨型ALP(ALP3型)が上昇するため、1歳〜思春期では成人の3〜4倍、成長期のピークは成人の4〜6倍にも達します。

しかし、稀に成人の10〜30倍の異常高値を示す症例があり、一過性高ALP血症と呼ばれます。症例の多くは乳幼児から小児に多くみられますが、成人でもみられます。

一過性高ALP血症ではALPアイソザイムでALP1型とALP2型の中間位にバンド
(α1α2)を認めることが特徴とされています。発症頻度は10歳以下の小児科外来患者の約0.7%といわれ、年齢は3歳くらいまでの乳幼児に好発し、臨床的には嘔吐・下痢などの消化器症状、発熱・咳などの呼吸器症状が多く報告されていますが、全く症状の認められない症例もあります。

RSウイルス、ロタウイルス、サイトメガロウイルス、水痘などのウイルス感染との関係が示唆されています。一過性の上昇であり、1〜2ヵ月には正常化します。

小児において成人の基準値上限の5倍以上の高ALP血症の場合、ALPアイソザイムで確認します。経過観察により一過性かどうかを検索することが重要です。


表.ALPアイソザイムと出現する病態
アイソザイム 由来 出現する病態
ALP1型 肝・胆管
(高分子ALP)
閉塞性黄疸
限局性肝障害
ALP2型 肝・毛細胆管 肝・胆道疾患、薬剤性肝障害
ALP3型 甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症
骨折、悪性腫瘍の骨転移、慢性腎不全
小児期〜思春期(生理的)
ALP4型 胎盤
(腫瘍)
妊娠(生理的)
肺癌、卵巣癌など
ALP5型 小腸粘膜 肝硬変
血液型O、B型で食後(生理的)
ALP6型 ALP結合性免疫グロブリン 潰瘍性大腸炎など
健常成人では大部分がALP2型でわずかにALP3型を伴う。
一過性高ALP血症ではALP1型とALP2型の間にバンド(α1α2)が出現する。

〔参考文献〕
深津俊明:臨床病理レビュー特集第116号、2001
最新臨床検査のABC、日本医師会編、2007