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クラミジア・ニューモニエ抗体価の見方について教えてください。

肺炎クラミジア (Chlamydophila pneumoniae) は主に肺炎や気管支炎、急性上気道炎などの呼吸器感染症を引き起こします。小児、高齢者に多く、市中肺炎の約10%、気管支炎の約6%の起因病原体といわれています。

特徴的な症状としては、長時間続く頑固な乾性の咳でマイコプラズマや百日咳との鑑別が必要です。また最近では、血管に慢性感染を起こしていることが明らかになり、心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化症に関わっている可能性が指摘されています。

初感染と再感染では抗体価推移のパターンが異なります。初感染ではIgMが3週以降に上昇し、次いでIgG、IgAがさらに2〜3週遅れて上昇します。IgMは通常数ヵ月で消退しますが、IgG、IgAはいったん上昇しピークを迎えた後、数ヵ月から数年にわたって漸減します。IgAはIgGに比べて早期に低下します。再感染ではIgA、IgGが2〜3週で比較的急激に上昇し、IgMは上昇せず、まれに上昇した場合でも低値といわれています。

感染既往を示すIgG抗体保有率は、5歳以降急激に上昇し、15歳以上で約60%、高齢者では約70%と報告されています。しかし、抗体を保有していても何度も感染し発症します。よって、初感染の多い小児はIgM抗体、再感染の多い成人はIgG&IgA抗体を検査します。

16歳以上の場合、小児に比べて感染既往抗体により弱陽性を示す頻度が高くなることから、カットオフインデックス値でIgAまたはIgG 3.0以上が「現在の感染」の一応の目安となります。しかし、感染後、抗体が上昇するまでに時間がかかるため、発症時には陰性〜弱陽性のことがしばしばあり、回復期とのペア血清での検査が不可欠です。

また、クラミジア・トラコマチスやオウム病クラミジア、猫ひっかき病の原因菌であるバルトネラ菌との交差反応やリウマチ因子による非特異的反応によって偽陽性となることがあります。臨床症状や他の検査結果と併せて総合的に診断します。


図.クラミジア・ニューモニエ抗体価の推移と解釈

  現在感染の診断 現在感染が疑われる
単血清 IgM

1.100以上(小児)
1.600以上(成人)

 
1.100〜1.599(成人)
IgG   3.000以上
IgA   3.000以上
ペア血清 IgG 1.35以上の上昇  
IgA 1.00以上の上昇  
〔参考〕 岸本寿男:検査と技術 36(13)、1998
岸本寿男、他:医学のあゆみ 203(6)、2002