CRCグループTOP > シー・アール・シー > よくある検査のご質問 >
EBウイルス抗体検査の使い分けを教えてください。

EBウイルスは口腔内に存在し、主な感染源は唾液といわれています。乳幼児期に初感染し、通常、無症状か上気道炎症状を呈しますが、年長児〜思春期以降に感染した場合に伝染性単核症や急性肝炎として発症します。EBウイルスは一度感染すると、体内のリンパ球に潜んでしまいます。潜伏したウイルスは普段は悪さをしませんが、体の抵抗力が下がると暴れだし(再活性化)、発熱、リンパ節の腫れなどを起こします。

日本人は乳幼児期までに感染し、成人の90%以上が抗体を持っています。ウイルス抗体価を調べると初感染か再活性化が区別できます。

EBウイルス抗体はVCA(外殻抗原)、EA-DR(早期抗原)およびEBNA(核内抗原)の3種類の抗原に対する抗体が存在します。VCAとEA-DRはEBウイルスが溶解感染を起こしたときに発現し、EBNAは潜伏感染したときに発現する蛋白です。EBウイルスの初感染ではVCA-IgM抗体が出現し、伝染性単核症の急性期に認められ、確定診断に利用されます。VCA-IgG抗体は既往感染で陽性となり、再活性化により異常高値となります。EBNA抗体は初感染の回復期から陽性になり持続的に検出されます。

よって、伝染性単核症の診断では、VCA-IgM抗体とEBNA抗体または、VCA-IgG抗体のペア血清とEBNA抗体を検査します。再活性化したEBウイルスが慢性的に活動する慢性活動性EBV感染症では、VCA-IgG抗体やEA-DR-IgG抗体を検査し、血液中のウイルス量(保険未収載)を調べます。

EBウイルス関連疾患の診断にはウイルス抗体検査を組合せて行い、その結果から感染時期の推定を行うのが一般的ですが、保険請求上は1項目しか算定できません。


表.EBウイルス関連疾患と抗体検査との関係(:推奨される組合せ検査)
検査項目名 未感染 EBV既感染
健常者
EBV初感染(伝染性単核症) 慢性活動性
EBV感染症
上咽頭癌
急性期 回復期
VCA-IgG ++ +++ +++
VCA-IgA −〜+
VCA-IgM −〜+
EA-DR-IgG ++ +++ +++
EA-DR-IgA −〜+
EBNA −〜+ −〜+
〔参考〕 日本医師会編 最新 臨床検査のABC、2007
最新臨床検査項目辞典 、2008